障害年金と労災給付について

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 寺井 渉

最終更新日:2024年02月05日

1 障害年金と労災給付

 病気や怪我が原因で日常生活や仕事に支障が生じた場合、障害年金を受給することが考えられます。

 一方、傷病が、会社の業務に起因する場合や、出勤・退勤時に受傷した場合には、労災保険から給付を受けることができます。

 障害年金と労災給付は、どちらも傷病が原因で日常生活に困難が生じた際に支払われるものであり、その受給の競合が問題となります。

2 障害年金と障害(補償)給付

 労災または通勤災害で受傷し、後遺障害が残った場合、その等級に応じた障害(補償)給付が支払われます。

 このうち、後遺障害の等級が7級以上の場合、障害(補償)給付は、障害(補償)等年金として、年金形式で支払われます。

 労災の後遺障害等級が7級以上の場合、その障害は、障害年金の受給要件を満たしていることが珍しくありません。

 その場合、障害年金の受給も申請することになります。

3 併給調整

 障害年金と障害(補償)等年金が両方とも認定された場合、障害年金は全額支払われます。

 一方、障害(補償)等年金は、併給調整により、減額されます。

 どの程度の調整がなされるかは、受給する障害年金によって異なります。

  調整率

  ア 障害基礎年金と障害厚生年金を受給する場合 0.73

  イ 障害厚生年金を受給する場合 0.83

  ウ 障害基礎年金を受給する場合 0.88

 たとえば、障害厚生年金を受給する場合、障害(補償)等年金は、0.83の調整率がかけられて減額されます。

 ただし、この調整にあたり、障害年金と障害(補償)等年金の合計額が、もともとの障害(補償)等年金の金額を下回らないよう調整されます。

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